中咽頭がんの情報
中咽頭は、扁桃腺、舌の付け根、口蓋垂周囲の部位を指します。空気の入り口であり、飲み込みや、構音に重要な役割を果たしています。このため中咽頭癌になると、(1)飲みこみづらい・飲みこむと痛い(2)息がしにくい (3)しゃべりにくいという症状がおこります。中咽頭癌はリンパ節に転移しやすい性質を有するため(4)頸部リンパ節腫脹もおこします。
従来頭頸部癌は喫煙者・大酒家・比較的高齢の男性の病期とされていましたが、近年、子宮頸癌と同様に、パピローマ−(乳頭腫)ウィルス感染が原因で中咽頭癌を発症する患者さんが増えています。
治療について
中咽頭癌の治療はchemoradioselection戦略での治療を行っています。
パピローマ陽性中咽頭癌はパピローマ陰性の従来の中咽頭癌に比較して、放射線・化学療法への感受性が高く予後も良好であることがわかっています。頭頚科では中咽頭癌の患者さんに対しては原則全例で癌組織中のパピローマウィルスのDNA検査を行い、治療方針を立てる際の参考にしています。当科の中咽頭癌の治療成績は極めて良好な結果(5年生存率86%)を示しています。パピローマ陰性群の生存率(5年生存率85%)が陽性群(5年生存率92%)に比べて若干不良な傾向ですが大きな差は認められていません。これは当院のパピローマ陰性群の治療成績が他の報告と比べて良好なためとおもわれます。